ブログを更新しないまま2年が過ぎてしまいました。
息をつく間もない、あっという間の日々でした。
ようやく3年目に入りましたが、これまで多くのアーティストさんに展示いただきましたこと、そして本当に沢山の皆様にお立ち寄り頂きましたこと、心より感謝申し上げます。
忘れがたい出会いもありました。
ある春の日、画家の上田靖之氏の個展が開かれていた際に、長身の男性がひょっこり来廊されました。上田さんの作品には聖と俗とが入り混じったとてつもない魅力があり、長い年月をかけて加筆され続けている作品は、どれも宗教画のように静謐で荘厳である一方で、どこかダークで悪魔的であると評されることもあります。
男性は、その中の1枚の、あるオレンジがかった背丈ほどもある大きな絵がとても好きだと言ってくれました。そして数日後にもまた見に来てくれました。
彼は、見たことのない、この世離れした印象的な眼差しをしていましたが、本人が持つ物静かで穏やかなイメージとその絵とは、あまりにかけ離れているようにも感じられました。
その後、男性はいつ来ても柔らかな物腰で、ギャラリーに流れている曲をさりげなく褒めてくれたりもしました。今どきにしては珍しいほどの優しさと丁寧な姿勢が、かえって彼の印象を濃いものにしていました。
その男性の訃報を知ったのは、最近のことです。
彼はミュージシャンで、本当に沢山のファンを持つスーパースターでした。
映像で見る華やかなステージ上の彼は、耽美で魅惑的で、まるでオレンジがかったあの絵そのものでした。
早すぎるその死に、どれほどの人々が涙を流したかと思うと、今なお胸が締め付けられます。
人と人との出会いと同じように、音楽や絵画など、人とアート作品との出会いも様々です。
穏やかな春の日に、偉大なスターと一枚の絵画作品が、この小さなギャラリーで出会い、心ゆくまで向き合えた時間があったこと、それがせめてもの慰めとなっています。
絵が時代を超えて残るように、どうか彼らの音楽、そして彼の歌声が、いつまでもこの地上で愛され、人々の心に残り続けますように―。
合掌。